11月25日、新橋(東京)にてバスクりんご酒をもっと飲む会主催のもと、業者向けスペイン・バスクりんご酒(シドラ)テイスティングセミナーが開催されました。
バスク語でSagardoa サガルドア、スペイン語でSidra
シドラとよばれるりんご酒。原材料となる土着品種は100種以上もあるそうですが、中でも主要品種は以下の9品種:Aritza、Txakala、Goikoetxe、Moko、Errezila、Patzolua、Urtebitxiki、Urdin、Manttoni。いずれも生食用のりんごと比べ、果皮が厚く、苦みが強かったり、酸が強かったりと、生食には適していないようです。
基本いくつかの品種をブレンドしてつくられるため、単一品種のシドラは作られておらず、単一品種のシドラは現在研究段階にあるものの苦みが強すぎたり酸が強すぎたりとバランスが悪く、飲めるような味わいのものはまだできていないそうです。
特にブレンド比率が決まっているわけではなく、収穫したさざまざなりんごをそれぞれ、洗浄した上で選果し、果皮をつぶしすぎないように注意しながら破砕し、その後プレスして果汁をクペラという大きな木樽に入れて発酵させ、ボトリングするとのこと。基本的にフィルターにかけないので、ボトルの底に澱がたまるのが特徴とのことで、抜栓する前にボトルをよく振っておりをシドラに溶け込ませて、澱ごと頂くのがシドラの飲み方だそうです。
飲み頃温度は10℃前後。2〜3口で飲みきれる量をグラスに注ぎ、一回で飲みきるのがりんご酒を美味しく頂く秘訣。
この澱は、基本的に発酵を終えた後の死んだ酵母なのですが、グラスにシドラが注がれたとき、この酵母の香りがムワッと広がります。これがバスクのりんご酒の特徴のひとつ。
ちなみに、ボトリングされるのは、全体の20%程度で、その他は醸造所にあるクペラ(大樽)から直接グラスに注いで飲まれます。このクペラからグラスに注ぐことを、txotx チョッツ(※もともとtxotx
チョッツとは爪楊枝のことで、大樽からシドラを抜いた小さな穴にこのチョッツをさして蓋をしていたことから転じて使われるようになった表現)と言い、『Txotx!! チョッツ!!』という合い言葉を言って頂くそうです。
バスクりんご酒の歴史にも触れられ、古くからバスク地方でりんご酒が庶民の文化に根付いていたこと、歴史上様々な出来事の中で徐々に衰退してきたこと、そして1975年フランコ体制崩壊後に、もう一度りんご酒が見直され、再び生産量を増やし始めたことなど、興味深いお話を聞くことができました。
りんご酒は、ワインと比べてもアルコール度が低く(アルコール度数 4.5%〜)、普段お酒を飲み慣れない方でもなじみやすいお酒。特にナチュラルなりんご酒であるスペインのりんご酒はドライな口当たりで、ビール感覚でお料理と合わせて飲みやすいお酒とのこと。
最後に、現在すでに日本に輸入されているバスクのシドラを3アイテムテイスティングさせて頂きました。
●Astiazaran Sidra Seca アスティアサラン・シドラ・セカ(輸入元:株式会社イムコ)
●Bereziartua ベレシアルトゥア(輸入元:有限会社オーケストラ)
●Urniola ウルニオラ(輸入元:株式会社スコルニ・ワイン)
いずれも、軽快な泡と爽快な飲み口が特徴的な魅力的なシドラで、ついついおつまみが欲しくなってしまったほど。
りんご酒には、ビタミンB、酢酸が多く含まれることから、疲れているときにもオススメだとか。バスク地方では身体に優しいお酒として親しまれているそうです。
また、田原町(浅草/東京)にあるスペインレストラン『Amets
アメッツ』のオーナーシェフの服部氏のお話によると、現地ではシドラを専門で出すお店(バル)、シドレリアが多く存在し、塩鱈のトルティーリャやフリット、イディアサバルなどと一緒に楽しまれているとか。アストゥリアス地方では地酒として扱われているシドラですが、バスクではチャコリやワインなどと並んでひとつのカテゴリーとしてシドラを扱っているお店が多かったそうです。ちなみに、『Amets
アメッツ』では11月から毎週木曜日にシドレリアメニューを実施されているとのことなので、ご興味のある方はぜひお試しを。
Amets アメッツ
東京都台東区西浅草1-1-12 藤田ビル1F
tel:03-3841-3022
[Enlace 関連サイト]
バスクりんご酒をもっと飲む会 http://ringovasco.wix.com/homepage
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