スペインのモノバリエタルワイン(単一品種のみを使用してつくられたワイン)に特化したはじめてのガイドブック “Sin Mala Uva” は、およそ20名のワイン専門家らの協力のもと、グルメジャーナリストの Ernesto Gallud エルネスト・ガリュー氏によって執筆されました。この本にはスペイン産モノバリエタルワインが約500アイテム登場、ぶどう品種の特徴やマリアージュなどが紹介されています。単一品種からつくられたワインに親しんでもらい、より多くの人々、とりわけワイン初心者にそれぞれの品種の特徴を理解してもらうこと、それがこの書籍の目的なのです。
著者のエルネスト・ガリュー氏へのインタビューをご紹介します。
世界的にはスペインワインが流行っていますが、スペイン国内の消費は低迷傾向にあります。新たにワインを楽しむ人々を増やすにはどうしたらよいと思いますか?
まずは消費者に寄り添い、分かりやすいことばで説明し、どんなワインが飲みたいのか、耳を傾けることです。その上で、プロとして彼らのニーズに応えることです。
このガイドブックのターゲットは?一般消費者ですか?それともワイン愛好家?もしくはプロフェッショナルの方向けですか?
ワインに興味をもち、ワインをもっと楽しみたいと思っている人はたくさんいます。みなさんのまわりにもいらっしゃることでしょう。そんな方に “Sin Mala Uva” を読んで頂けたら嬉しいです。この本にはワインを最大限楽しむために最小限必要な知識が書かれているのです。
世界的にモノバリエタルワインが増えていますが、それについてはどう思われますか?
例えば、ウラジオストクの市民が、リオハやトロがワイン産地であるなど知るよしもありません。逆に、全てのスペイン人が、ウラジオストクがヨーロッパの都市なのか、それともアジアの都市なのかを知っているわけではありません。しかし、テンプラニーリョやメルロというぶどう品種はどこにいっても共通です。単純に、わかりやすいのです。ワイン入門者にとって、モノバリエタルワインは理解しやすく、選びやすいのです。
分かりやすい例でいえば、自動車は、車種やブランド、その他様々な特徴で定義されます。初めて車を購入するときは、単純に“車”と呼んでいます。それが2台目、3台目を購入する頃には、“自家用車”、“軽自動車”、“4駆”、“スポーツカー”、“コンバーチブル”など、様々なタイプで選ぶようになります。さらに愛好家になると、呼び方もより専門的になり、メーカーや車名を語る事が増えてきます。さらにはカーレースや、どの国でつくられているかという車の生産国などにも詳しくなっていきます。つまり、消費者が車を定義づけていくのです。
"Sin Mala Uva" には17名の様々な立場のワインプロフェッショナルらの協力で構成されていますが、本書をまとめる上でのポイントを2点に絞って教えてください。
ワインを理解するには、まずぶどう品種を知らなければなりません。それは文章を理解するには、言葉の意味を知らなければならないのと同じことです。
世界のワイン愛好家はワインを産地ではなく、品種で選んでいます。そこで、“Sin Mala Uva” が生まれたのです。ワインはスペイン人だけではなく、世界みんなのものなのですから。
ワインを定義づける際、ぶどう品種、産地のどちらがより決定的な要因となりますか?
それは市場次第でしょう。場合によっては、価格がもっとも重要なファクターとなるケースもあるでしょう。ワインに関して言えば、最も重要なのは誰が飲むかという点であるのですが、その点が欠落して論じられるケースも少なくありません。ワインについて語るとき、すべてのファクターのバランス、調和が最も重要であり、どのファクターが最も重要ということなどできません。
ガイドブックに掲載されているぶどう品種のうち驚かされた品種は何ですか?
私にとって意外だったというか、驚かされたのは メレンサオとネグラモルです。
コメントをお書きください