ぶどうを栽培する上で、気候は、良い影響にせよ、悪い影響にせよ、年間通して非常に大きな影響を及ぼします。そして、気候の善し悪しが、テロワール以上に、ワインの香り、味わいに影響を与えることも少なくないのです。タイプやヴィンテージが同一でD.O.の異なるワインのほうが、同一D.O.のヴィンテージ違いのワインよりも似通っているということはよくある話です。
ぶどうの成熟期
ぶどうは非常に天候に左右される果物です。成熟するには、1か月、もしくは、2か月ほどかかります。ぶどうの成熟期はその年の出来を決定づける、最もデリケードな時期です。もし日照が多過ぎると、ぶどうは日焼けで傷んでしまいます。逆に、夏季に気温が上がらず冷夏の年は、果房はしっかり熟しきらず、糖度が低く、色素、タンニンの少ないモスト(果汁)しかとれません。
また、降雨が多すぎれば、ぶどうの実は大きくなり過ぎ、外観は健康そうで美味しそうですが、糖度の凝縮度が低く、アルコール度数の低いワインとなってしまいます。また、果皮が水分を含んで厚くなりすぎると、ボディの軽い、色、味わいの薄いワインとなってしまいます。つまり、鼻、あるいは口の中で広がるアロマの印象が薄い、ぼんやりとしたワインになってしまうのです。
降雨量と日照量
ぶどうの成熟期、つまり、収穫までの30〜40日間に降雨が多過ぎると、ワインが水っぽくなってしまうので、理想的なのは、夏の間は雨が降り過ぎず、しかも暑過ぎない、晴天に恵まれることです。あまり暑過ぎると、ぶどうが乾燥してしまったり、日焼けしてしまったりするからです。
収穫直前は、雨の影響によるリスクが高まる時期です。ぶどうの収穫の数日前は、“適度な降雨”など存在しません。
また、ピレネー山脈のある北部では日照が多ければ多いほどぶどうに良い影響をもたらします。逆に、平均日照量がかなり高い南部では、高温を伴った過度な日照は、取り返しのつかない悪影響をもたらすのです。
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