フランスのトゥールにあるフランソワ・ラブレー大学に2002年に開設された食料研究所の開設10周年を記念して、ガストロノミー界を代表する4名のシェフに名誉博士号を授与することにしました。授与されたのは、ミシュランの星を6つもつ、バスク人シェフ、マルティン・ベラサテギ氏のほか、オテル・ドゥ・ミクニ(日本)のシェフの三國清三氏、Hotel de Ville ロテル・ドゥ・ヴィル(クリシエ/スイス)のPhilippe Rochat フィリップ・ロシャ氏、Comme Chez Soi レストラン・コム・シェ・ソワ(ベルギー)のPierre Wynants ピエール ウィナンス氏。
これまで、フランスの大学がこのようにレストランのシェフに対して現存する最も権威のある学術的な栄誉のひとつである学位を授与したことはなく、(どちらかと言えば)このことの方がより意義のあることと言えるでしょう。授与式は、Jean Bardet ジャン・バルデ氏を筆頭にフランスガストロノミー界の名立たるシェフ45名が集まる委員会によりこの4名が任命された後、7日にフランソワ・ファブレー大学の講堂で行われる予定です。
大学によれば、マルティン・ベラサテギ氏が選ばれたのは、『彼のスペインにおけるフランス的な料理と芸術の優れた大使』として評価されたためで、また、彼は『この学位を授与することは言葉にできないほど栄誉あること。フランスは常に両手を広げて自分を受け入れてくれ、シェフとして非常に多くのことを学ばせて頂いた。フランスは最高の文化、そして最高の料理のある魅力的な国』として、今回の授与を非常に光栄、かつ、誇りに思っていると語りました。
バスクの新スペイン料理 "ヌエヴァ・コシーナ"
マルティン・ベラサテギ氏(サン・セバスチャン出身、1960年生まれ)がシェフとしての修業し、その後のシェフ人生と深く関わっているのが、サン・セバスチャンの旧市街にあるレストランのBodegón Alejandro ボデゴン・アレハンドロで、彼はこの店で1986年に最初のミシュランの星を獲得。1993年に妻と始めたレストランが、サン・セバスチャンから7キロの位置にあるラサルテ・オリアにOneka Arregui オネカ・アレグイ、いわゆるマルティン・ベラサテギでした。
オープンから6ヶ月でエル・ボデゴンで取ったミシュラン1ツ星を再び手に入れ、3年後にふたつめの星を獲得、その後2001年に重要なガイドブックであるミシュランの最高ランクとなる3ツ星を獲得しました。1996年、2009年に優秀な弟子たちを集めてマルティン・ベラサテギ・グループを創設、系列店にはビルバオのグッゲンハイム美術館レストラン、サン・セバスチャンのKursaal クルサール(2007年にミシュラン1ツ星を獲得)、Bodegón Alejandro ボデゴン・アレハンドロ、Mugaritz ムガリッツ(二ツ星を獲得)があります。
2005年からはテネリフェ南部にあるHotel Abama オテル・アバマのレストランのコンサルタントも務め、このレストランは彼の監督のもとミシュラン1ツ星を獲得しています。また、hotel Condes de Barcelona オテル・コンデス・デ・バルセロナ、Loidi ロイディ、Lasarte ラサルテもミシュランの星を獲得。また、Lasarte ラサルテはミシュラン・ガイドで三ツ星を獲得し、バスクの“ヌエヴァ・コシーナ”を代表するレストランとして知られています。
世界へ
2009年9月28日、中国の上海に“三ツ星”レストランをつくろうと、Restaurant Martín レストラン・マルティンをオープンしました。2010年1月にはセビージャのHotel Eme オテル・エメ内にあるレストラン、Santo by Martín Berasategui サント・バイ・マルティン・ベラサテギの料理コンサルも行い、2011年版のミシュラン・ガイドで最初の星を獲得しました。
彼の世界への冒険はまだ続いており、最近ではドミニカ共和国に、Fuego Gastro Bar by Martín Berasategui フエゴ・ガストロ・バー・バイ・マルティン・ベラサテギとPassion by Martín Berasategui パッション・バイ・マルティン・ベラサテギの2店舗レストランをオープンしました。マルティン・ベラサテギ氏の功績は各地で多くの賞や評価を受けています。また、La joven cocina vasca 新しいバスク料理(1996年)やCocina en casa con Martín Berasategui: 1100 recetas básicas マルティン・ベラサテギとつくる家庭料理 1100の基本レシピ(2009年)などを含め、本も10冊ほど出版しています。
[出典]
www.diariodegastronomia.com 2013年11月6日掲載記事
Berasategui, Doctor Honoris Causa por la Universidad François-Rabelais