収穫は去る9月2日にわずかな収穫でスタートし、シャルドネやメルローなどの成長サイクルの最も短い品種の収穫は大体9月10日に最盛期を迎え、10月31日に残りのカベルネ・ソービニヨンの収穫を持って、今年の収穫は終了となりました。
収穫されたぶどう
今年の集荷量は、D.O.ソモンターノとしては最も多い収穫量ではありませんでしたが、昨年の収穫量の約40%増でした。しかしながら、収穫量はここ数年の平均である2000万キロ以上でした。
具体的にみると、今年の収穫量は20,802,543キロで、これは昨年に比べて5,803,039キロほど多く、38.7%の増加となりました。今年の収穫面積は3,506ヘクタール。
平均収量は1ヘクタール当たり5,934キロで、昨年の4,301キロ/haよりも多く、昨年の収穫面積が今年とほぼ同じ3,487ヘクタールだったことを考えると、平均収量の伸びが非常に大きなものでだったといえるでしょう。特に収量が増えたのがピノ・ノワール、ゲベルツトラミネール、シャルドネ、マカベオ、ソービニヨンブランでした。
収穫のカギとなった気候
今年の収穫を考える上でカギとなるのが気候でした。今年はソモンターノにとって記録的に最も冷涼な年のひとつだったと言えるでしょう。
今年の気候の特徴を振り返ると、降雨量が多く、夏の気温もそれほど上がらずに穏やかな年で、2012年に比べて3週間ほど収穫開始が遅れました。
降雨量がかなり多かったため、ぶどうの成熟にも遅れが生じました。植物の成長が進んだため、ガルナチャなどは生産量がかなり少なくなりました。
夏季の昼夜の温度差は20℃ほどで、色素の生成も順調で、アントシアニンを豊富に含んだ赤ワインとなるでしょう。
ボデガス・ピリネオスの醸造家、ヘスス・アストライン氏によれば、『収穫の遅れはアロマやフェノールの豊富な非常に良質なぶどうをもたらしてくれるます。最も今年のように天候にさえ恵まれればの話で、そうでなければカビの被害が問題となるでしょう。』とのこと。
品種毎、ワインのタイプ毎の出来
品種別に見ると、今年のシャルドネは大変バランスのとれた、アロマの高い、大変フルーティーなぶどうとなりました。ゲベルツトラミネールは品種の特徴がしっかりと出ていて、特に香りの高い、フレッシュなぶどうとなりました。マカベオは、白系果実のアロマで、柑橘系のニュアンスとかすかに花のアロマを含んだ、繊細で上品な印象のぶどうになりました。また、土着品種であるガルナチャ・ブランカ、そして、外来品種のソーヴィニヨン・ブランやリースリングなどのその他の白ぶどう品種も、それぞれ品種の特徴のしっかりとしたぶどうとなりました。
黒ぶどうに関しては、メルローは色のかなり濃い、アントシアニンが豊富でアルコールと酸のバランスが非常にすばらしく、また、タンニンが非常にしっかりとした、フレッシュな果実味の豊富なぶどうとなりました。カベルネ・ソーヴィニヨンもとても品種の特徴がでていますが、特に果実味が豊かで、バルサミコのニュアンスのある、フレッシュで、力強いながら優しいタンニンのぶどうに。テンプラニージョは、非常にロゼに適した、鮮やかで色の濃い、果実味のあるぶどうになりました。シラーは凝縮感がすばらしく、表現豊か、そして、非常に丸みのあるタンニンで、果実味のしっかりとしたぶどうに。モリステルやパラレタはフレッシュで生き生きとした印象で、アロマ豊かで口当たりの優しい味わいに。ガルナチャは他の年とくらべて成熟状態がすばらしく、複雑味のある色の濃いぶどうに。そして、ピノ・ノワールはソモンターノの黒ぶどうに新たな味わいをもたらしてくれています。
ワインの出来については、非常に繊細で、果実味の豊かな、色、アロマいずれもしっかりとした、自然な酸のバランスのとれたワインとなるでしょう。白ワインは比較的フェノール分が少なく、色素の薄い、口当たりが軽めの早飲みタイプのワインとなる見込みで、例年に比べて柑橘系、花、チオール(硫黄化合物)のアロマが感じられるでしょう。また、ロゼワインは色の鮮やかで果実味の豊富で、バランスのとれた優しい酸で、フルーティーな味わいのワインとなるでしょう。
[出典]
www.vinetur.com 2013年11月2日掲載記事